インタビュー・シリーズ【先輩のお話】では、飲食業関連のお仕事をなさっている諸先輩に開業のきっかけや、その業態を選ばれた理由などを20T運営者が直接お話をうかがっていきます。
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岩根健太さん
このお仕事に就かれてから、何年になりますか?
2013年6月末、オープンと同時にbonumに入ってから約2年になります。
前職と、このお仕事に就かれたきっかけを教えてください。
bonumの前にイタリアン3年、バー8年、カフェ半年と仕事をしていたのですが、10代の頃から仲良くさせていただいていた方とお互いの自分がしたいお店の話をして意気投合し、[その方がオーナーになる]bonumで働くことになりました。
熟成肉を選んだきっかけは何でしたか?
オーナーは本当に肉好きで、僕は肉を調理することが好き。[お店の構想を練っていた]当時、熟成肉がメディアで取り上げられ始めた頃でした。でも冷静に分析しなければと思い、熟成肉の店として有名な東京・乃木坂にある祥瑞/SHONZUIに行ってみました。熟成肉の店を何軒か食べ歩いた中で、祥瑞は衝撃でした。肉の脂がしつこくないこと、肉の信じられないほどの旨味や香り、盛り付け、サービス… 全てが自然で、忘れられませんでした。そこで、店で提供するメニューとして[熟成肉を]選びました。
2015年、今年になってようやくブームといえるブームになった気がします。ここ1年で確実な手応えを感じています。オープンした2013年当時は、洋食を一通り注文できるようなメニューにしていて、熟成肉をあまり前面に出していませんでした。
今でこそ、黒板に書いたメニューと切り分けた[調理前の]生肉を持って説明のため全テーブルをまわっていますが、最初は熟成肉を注文されるお客様が6割5分でした。それが今は、9割8分まで伸びています。熟成肉という食材に、広島での認知度がやっと追いついたという感じです。
◎広島での認知度が追いついたいうことですが、これからの予想をお聞かせいただけますか?
焼肉に行くのも他店という選択肢もあるでしょうし、肉にしても焼き鳥なのか、牛たんなのかという中の1つでいいと思います。「肉食べに行こう!」という時の選択肢の中に、普通に「熟成肉」があればいいですね。
ただ熟成肉を毎日食べるのは難しいと思います。自分にとって大切な方と、または久しぶりに会った時にご飯食べにいこうか、というシーンで選んでいただければ嬉しいです。接待、記念日、決めたいデート、プロポーズ*とか…
* bonumさんでプロポーズなさって、めでたくご結婚、後日ご挨拶にみえられたカップルもいらっしゃったそうです。
これから飲食店を始めようとする方に一言お願いします。
飲食に入らずとも、こだわりを持ってほしいです。
自分でお水・お茶を飲む時、グラスを変えて飲むお茶、自分の好きな器で飲むお茶… [感じ方が]違うと思います。食材もその延長で、自分が外食にいくのであれば、[今日は何を食べようかと]自分で選んで食べにいく。「[主体性を持って]自分で選ぶ」という喜びは、お金を払って勝手に出てくるものではないと思います。
歩み寄ること、思いやり、人からしてもらう「何か」… 付加価値と言いますか、直接的な対価のないものを店とお客様の両者が大切にすることで、食生活はもっと充実したものになると思います。
それから、笑顔。それは大事にしたいです。
13年前の18歳のころから、それは変わらないです。
ありがとうと言われる満足感・充実感… その充実感はただの自己満足を超えたもので、もっと深く、自分を満たすものになっていくと思います。
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【先輩のお話】バックイシュー
永井佳世さん MOLLY MALONE’S プランナー
寺西隆幸さん てらにし珈琲 代表取締役